HISTORY OF ERASER消しゴムの歴史

消しゴムの歴史

消しゴムが発明されるまで、字を消すためにパンが使われていました。1770年イギリスの化学者プリーストリーによって天然ゴムに字を消す性質があることが発見され、世界初の消しゴムが作られました。その後、天然ゴムからできた消しゴムは1772年にイギリスのロンドンで売られ、フランスに渡りパリで商品化され、ヨーロッパ中の人々に愛用されるようになりました。 日本に消しゴムが輸入されたのは明治23年(1890年)だといわれ、それを基に大正初期、最初の国産品が三田土ゴムから製造されました。昭和27年(1952年)には、より字をきれいに消すことができる塩化ビニール樹脂を原料とした「プラスチック消しゴム」が現れました。昭和30年代に入って、プラスチック消しゴムが盛んに製造されるようになり、販売数でも字の消えやすさでも、天然ゴム製消しゴムをはるかにしのぐようになりました。現在天然ゴムは、砂消しゴムなど一部の商品にのみ使われています。また、塩化ビニール樹脂を使用しない新しい消しゴム、NON-PVC消しゴムも開発され製品のラインアップも増えました。

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プラスチック消しゴムの消えやすさの理由

プラスチック消しゴムの消しくずの出やすさに関係しています。文字を消すと消しゴムに鉛筆の黒鉛が付いて、表面が黒く汚れてしまいます。プラスチック消しゴムは、その黒く汚れた部分が消しくずとなって取れやすいので、黒鉛のついていないきれいな面が常に出て文字を早くきれいに消すことができます。

“プラスチック消しゴム”のできるまで

配合

配合

プラスチック消しゴムは、大きく分けて次の4種類の材料からできています。
・塩化ビニール樹脂…鉛筆の黒鉛(カーボン)を吸い付ける 働きをします。
・可塑剤…塩化ビニール樹脂を軟らかくし、くっつける働きをします。
・炭酸カルシウム…消しくずを出やすくする働きをします。天然物(消しくずが大きくなりやすい)と合成物(消しくずが小さくなりやすい)の比率によって、消しくずの出かたが変わります。
・安定剤…塩化ビニール樹脂を熱や紫外線から保護する働きをします。消しゴムが黄色くなるのを防ぎます。 塩化ビニール樹脂・炭酸カルシウムの種類や配合量を変えることで、消しくずの出やすさ、大きさが違う消しゴムを約20種類作っています。

混合

混合

材料を“混合機”に入れて練る作業です。全ての材料を混ぜると、液体になります。液体に空気が含まれていると、ひび割れの原因になるため“真空ポンプ”で空気を取り除きます。色や香りを付けるときは、この混合工程で色や香りを付けます。

成型

成型

プレス成型は、混合した液体を型に流し込み、熱で固める作業です。この工程では温める温度と時間が正確に決められていて、これが不正確だと性能の低下(消しくずが出ない、軟らかすぎるなど)の原因になります。充分に冷やして、型から取り出し互いにくっつかないように表面にデンプン粉を付けます。プレス成型の他にも、押し出し成型、インジェクション成型があります。

切断

切断

プレス成型で出来上がった約50×50cmサイズの消しゴム板を製品サイズに切る作業です。

仕上げ

仕上げ

製品サイズにした消しゴムは紙のケースに入れ、セロファンが巻かれ、箱詰めします。 この工程で消しゴムは、表面のキズ・汚れなどがないか、などの検査を受けて、商品として出荷されます。

よくあるご質問

Q:どうして字が消えるのですか? A: 鉛筆で字を書いたとき、紙の表面には黒鉛(カーボン粒子)が付着しています。これを消しゴムで消したとき、 1.消しゴムの表面に黒鉛が付着 2.紙の上を動かすことで消しゴムの表面がこすれる 3.消しゴムにカーボン粒子が包まれて消しくずとなる 4.消しゴムの表面は、黒鉛が付いていないきれいな状態になる。の繰り返しで、消しゴムで字を消すことができます。
Q:プラスチック消しゴムについている白い粉は何ですか? A: この白い粉は、デンプンです。プレス工程を終えた消しゴムは、切断するまで重ねておきます。できあがった消しゴムは表面がツルツルしているので、このとき何も付けずに重ねておくと、消しゴム同士がくっついてしまいます。それを防ぐために、表面にデンプンをつけます。このデンプンは、消しゴムに限らず“ねりけし”にもついていますが、それも押し出し工程で並べて置くときに、互いにくっつかないようにするという目的からです。
Q:プラスチック消しゴムと鉛筆をくっつけて置いたら、消しゴムに鉛筆の塗料が移ってしまった。 A: これは、“可塑(カソ)剤の移行”と呼ばれる現象です。プラスチック消しゴムには、可塑剤という油が材料として含まれています。消しゴムと鉛筆をくっつけたまま長時間放置しておくと、この可塑剤が徐々に表面に浮き出してきます。この量は目に見えないくらいの量ですが、鉛筆の塗料を溶かして鉛筆をくっつけてしまいます。 この現象は、プラスチック製品(ABS樹脂)とくっつけておいた場合にも起こります。そのため、プラスチック消しゴムのケースには“使用後は、ケースに入れておきましょう”などの注意書きが入っています。